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店の中はマイが思っていたよりも広く店内の奥ではテーブル上で多くの戦いが繰り広げられていた。
ナオトは店へ入って右側のカウンターへとスタスタと進んでいく。
マイは店内の広さと思っていた以上の明るさにどうしていいか困惑していた。
ナオト「何してんだよ!マイ!」
ナオトからの呼びかけに反応してマイはカウンターへと歩みを進める。
カウンター越しに私たちより少し年上の女性が一枚の契約書と書かれた用紙とIDカードを差し出す。
ナオト「これに名前と住所とか書かないといけないみたいだぜ!面倒くさ!」
ナオトは契約書を女性から受け取り、マイに差し出す。
マイ「うっ、うん。」
マイはカウンターテーブルを利用して契約書を書き込んでいく。
契約書には個人情報の取り扱いなどが書かれており、最後に書き終わった所にこう記載されていた。
'ようこそ!!まだ見ぬ新たな召還師に幸運と安住の地を'
マイ「お願いします!」
?「へぇ~!マイちゃんかぁ。」
契約書を提出しようとしたマイの横から《クリムゾン》と書かれたエプロンをした20代後半ぐらいの黒縁の眼鏡をかけた男性がカウンターテーブルに肘を掛けて覗きこんでいた。
その声に驚いたマイは契約書を見られないように記載面を胸元に抱きしめる。
ナオト「セイさん!」
ナオトは覗きこんだ眼鏡の男性と知り合いらしく声を掛ける。
セイ「ナオトくんじゃないか!
戻ってきたのかい?FKに!」
セイと呼ばれた男性はナオトを思い出したらしく声を上げる。
ナオト「俺じゃないっすよ!こっち!」
ナオトはマイを親指で差し、その動きを受けてマイはセイに頭をぺこりと下げる。
セイ「ナオトの彼女か!」
ナオト「違うよ!幼なじみだよ。」
ナオトは顔を赤らめて頑なに否定する。
セイ「ふ~ん。」
セイは納得してなさそうにカウンターの上の猫と思い出したかのようにじゃれ合う。
マイは改めてカウンターの女性へと契約書を差し出す。
女性「陽向真衣(ひなたまい)ちゃんね。これでIDカードの登録はおしまいよ。すぐにでも遊べるけど…どうする?」
マイはナオトの方を振り向く。
ナオト「デッキ持ってきてるんだろ?何事も経験だと思うぜ!」
マイはカウンターテーブルへ振り返ると不安げな表情をうかべながら…。
マイ「じゃあお願いします。」
女性は1冊のノートをカウンターから取り出した。
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