第一章 初めての幻葬

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こんな小さい子に「機関」に入れ、と言うのは非常識だ。 普通なら誰もが、そう言うだろう。 だが「機関」にとっては、【能力者】をスカウトすることは常識である。 そもそも2000万人に1人と言われる確立で存在する【能力者】。野放しにしておくのは危険な存在である。 だから。「機関」の一員とする。そうすれば、一応押さえることができるからだ。 要するに。 「頼む」形ではあるものの、拒否権など、蒼太には存在しないも同然である、ということだ。 「ま、すぐに返事できるようなもんじゃないな。だからさ。【機関】に来る気になったら、ここに連絡くれよな」 ジャックはそう言って、少年に連絡先を書いた紙を渡す。 「分かりました。とりあえず、ゆっくり考えさせてもらいますね」 しかし、少年は【機関】へ参加するつもり満々であった。 【能力者】として不気味がられていた彼に生きる目的がもはやなかった現状。 これを打破するのは、きっとこれだ。 そうして、少年の「退魔師」としての物語が、始まった。
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