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ドンドンッ!!
「たっちゃん、起きてくれないと私、先に食べちゃうよ?」
部屋のドアを叩き始めたか、そろそろ起きないとマズイな……
「今起きるよ、だから待ってて」
俺は跳ね起きて急いでドアを開く、その先には見慣れた顔があった。
くるっと丸まった癖のある肩くらいまでの黒髪、少し大きめの綺麗な瞳、筋の通った高くも低くもない鼻、顔全体にこれ以上ないくらいにぴったりとはまった口元。この子は俺の彼女の渡辺彩(ワタナベ アヤ)。
付き合いはじめたのは中学の卒業式の時、約ひと月程前のことになるか。
その時のことは思い出すだけで恥ずかしい。初初しいというかなんというか……思い出す機会があったらまたその時で。
彼女を見ていて気づいたことがある。いつもとは違う服装をしているのだ。
「制服すげぇ似合ってるぞ」
彩は制服を着ていた。紺のような深緑のブレザーに、濃い黄色のリボン。膝下まであるチェック柄のスカートだ。
「あ、ありがとう。初めてはたっちゃんに見てほしかったんだぁ!!」
とは言ってもさっきまで夢で見てたんだけどね。
「とにかく、ご飯食べようぜ」
そう言って彩と一緒に居間へと向かっていった。
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