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「裕翔のことお願いします。ひとりっ子でわがままなところもあると思いますが……」
「いやいや、うちなんかに、こんなかわいい女の子みたいな子が来てくれるなんて。ね、母さん」
鼻の下に少しひげをはやし、眼鏡をかけた、優しそうなおじさん。
この人がパパの親友の山田浩介さんだ。
今日は仕事がお休みで、これから日課のウォーキングに行くところだと話してくれた。
そして、その隣に、とても健康そうでふっくらとした女の人がニコニコと立っていた。
この人が奥さんで、山田佐紀子さん。
「しばらく、お世話になります」
僕は、ペコリと頭を下げた。
山田夫妻に笑顔を向ける。
昨日、鏡の前で練習した、とびきりの笑顔。
「こんなかわいい子がうちにいるなんて、きっとりょうがびっくりしちゃうわね」
おばさんが、言った。
自分の家の女の子より、僕のが可愛いの?
と疑問。
まだ、りょうちゃんは学校らしい。
しかも、僕と同じ学校ときている。
一緒に行くべきか行かざるべきか…。
一緒に行くにしても、僕は帰宅部だからすぐ帰ってくるけど、りょうちゃんは部活をやっているみたいだし。
帰りはいつも7時近くになるんだっておじさんが言った。
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