時間という名の強迫観念

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いつの間にか眠っていたらしい。 そんなに飲んだ記憶はないんだけど。そう、ビールをグラスに一杯と少し。 それくらいでは眠ったりしない。 でも寝ていたのは事実だ。 重い頭をどうにか起こす。 悪酔いしたかのように、頭の中で色々なモノが回っている感覚だ。吐き気が私の後ろで控えている。 辺りは暗い。 どれくらい寝ていたんだろう? 重い頭をゆっくりと巡らせるが、頭の中の黒いベールが瞼にまで下りていて、周囲の薄闇に上手く焦点が合わないのだ。 ふと違和感を感じる。 頭は動かせるが、身体の自由が利かない。 声を出そうと口を開くが、口の中に何かが押し込まれている。 そんな事にすぐに気づかない程、頭のベールは重く厚かったのだ。 自分の状況を徐々に把握するに従い、私の心拍数も上昇してくる。 そこに、漸く慣れた目に飛び込んできた姉の姿。 まだ意識が戻ってきてないのか、床に倒れている。 姉は裸だった。そしてロープに縛られ、猿轡が噛まされていた。 きっと私も同じ格好なのだろう。 頭のベールが薄れ、状況を把握すると共に、皮膚の感覚も戻ってきた。 高めの室温と湿度に不快感を感じ始めるが、それによる汗ではなく、背筋を通る悪寒に冷や汗が吹き出す。首筋を伝う汗が床に滴り落ちた。何も覆うもののない肌が、自身の湿り気で床にくっついている。 私は身体をどうにか動かし、肌を床から剥がした。
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