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私はその行動を後悔した。
今までした事のない程の後悔だ。
最初、私の移動した視界の先にあるのはマネキンだと思った。
薄闇で細部まで見えなかったので、解体されたマネキンだと思ったのだ。
それでも気持ちが悪い。
でもそれが本物の人間の手足や胴体だと気づくと、気持ちが悪いという感覚は私の後ろに従っていた吐き気を内に取り込み、更に恐怖という友達をも連れて来てしまった。
私は顔を背ける。
しかし胃の中のものは容赦なく逆流を始め、塞がれた口の隙間から溢れ出していた。
それでも半分程しか消化されていない固形物は口の中に残り、私にはそれを飲み下すほか、その異臭のする溶解物を亡くす方法はなかった。
私は涙を滲ませながら、ゴクリと喉を鳴らす。
しかし私の吐瀉物で汚れた猿轡は、その臭いを私の鼻先と口の中に容赦なく放出している。
私は強烈な吐き気と戦いながら、何故自分と姉がこんな状況にいるのか考えようとした。
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