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ガシャガシャと寸胴を棚に置く音。
店員が寸胴を洗い終わったのだ。
暫く様子を窺っていると、次に店員は厨房の床にしゃがみ込んで何かを始めた。そして、
ぎぎぃ
何かを開く音。
二人は更によく見ようと頭を出すと、店員が床下に姿を消すのが見えた。
床の一部が四角く黒い口を開いている。店員の頭は、そこに沈んでいったのだ。
二人は慌ててそちらに向かう。
しかし余りに慌てた為、周囲に気を配る事等忘れていた。
「ちょっと! あんた達!!」
二人を呼び止める声が響く。
そちらに顔を向けると、鬼の様な形相のおばさんが、すごい勢いで近づいてきていた。
二人は急いでその穴に入ろうとするが、一人が通るのがやっとの大きさで、もう一人はおばさんに立ち向かうしかない。
そうするうちに親父さんも戻ってきた。おばさんとは対照的に、その表情からは何も窺えない。
おばさんはこちらに向かいながら、テーブルの上に置いてあった包丁を手にする。そして勢いよく振り上げて、更に近づいてきていた。
残ったのは義兄の方だった。彼は義弟が穴に入るのを確認するが、自分が入るのは諦め、近くにぶら下がっている物を構えておばさんと対峙した。
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