そして全ては終点に向かう

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『火喰い飯店』の常連客は、今では精神科の常連になっている。 心的外傷。 そう、トラウマ。 今迄、自分達が美味しいと喜んで食べてきたものが何だったのか。 それを知った時のショックは、かなりのものだったろう。 ラーメンを食べられなくなった人。匂いを嗅ぐだけで吐く人。 中には食べ物全てを受け付けられなくなり、入院した人もいるらしい。 あそこの地下にぶら下がっていた人間の部位は、一部は行方不明者のものだという事が判明している。 だが、かなりの数があるらしく、今だに個人を特定するに至ってないものが多数あるのだ。 それでも殆どの行方不明者は、この飯店で客に供されたのだろうと推測されている。部位が残ってない者は、その全てが誰かの胃に納まり、既に排出されているだろう。 あの飯店の夫婦は、その精神が完全に壊れてしまっており、警察の取り調べに答える事は出来ない。その為、今は警察病院に収容されている。二人はそこで、意味を為さない言葉を発したり、叫んだりしているそうだ。 この事件に関しての事実関係については、飯店の店員とマンガ喫茶の店員から聴取を行っているらしい。 彼らが罪から逃れる事は、決して出来ないだろう。 でも、だからと言って被害者が生き返る事はないし、心の傷が消える事もない。 私と主人が、これから先の人生を共に歩む事さえも、決してないのだ……――。
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