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それから1時間くらいで 今日子の家から出た。 「じゃ、また近くになったら  メールするから」 「うん、わかったよ。」 「じゃまたね」 「うん、またね。  今日はご馳走様ね!」 「いえいえ、こちらこそ  忙しいのに、お呼びたて  いたしまして」 満面の笑みで手を振って 玄関を出る。 日は大分陰り 通り抜ける 風は少し肌寒い。 「さむ…」と 少し震えて 急いで車に乗り バフっとドアをしめる。 エンジンをかけると コンポからは 軽快なリズムと それい合わせて 私の大好きな歌声が 響いてくる。 この声が生で 聞けるんだ…。 そう思うと いてもたっても 居られない気持ちになる。 今日子には 仕方ないなぁ と、いう態度を 取っていたが 実は心の中では何度も ガッツポーズを取っていた。 「復活するんだ…」 とCDジャケットを しげしげと見る。 Poison Rose と書かれてあるジャケットは スカルとローズが 黒の背景に よく映えている。 「ふん、ふんふふん」 とCDの音に合わせて 鼻歌がでる。 心はもう ライブ会場に飛んでいた。
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