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今日子の家からの帰り道 夕飯の食材を買うために スーパーに寄った。 買い物を素早く済ませ 家につくと 台所で買ってきた食材を テーブルに出す。 「…。」 なんだか訳もなく 気分が沈んでくる。 さっきまで。 ライブに行けると 気分が高揚していたのが ウソみたいだ。 「はあ…。」 ため息がでる。 「…。」 別に。 今の暮らしに文句なんて無い。 一人息子の健も 無事に大学に入り 車の免許を 取ってからというもの 私の親としての役目は 随分と減った。 毎朝健を起すことと お弁当は変わらず 作ってはいるが…。 将来を見据えた大学選択。 漠然としていた将来への 不安も消えたし。 そして何より 学校への送迎が 無くなったせいで 時間に縛られずに 動けることが 私を楽にしている。 旦那の哲は 付き合っていた頃から ずっと仕事が忙しい。 健が中学に上がると 課長になり なお一層 忙しくなったのか 帰宅時間が 遅くなる日が増えた。 子供が小さい頃は 私自身若かった。 体力もあったし 無理も出来たから 仕事も辞めずに 働いていた。 毎日忙しく過ごし 仕事と子育ての 両立に追われた。 「早く子育て卒業したいよ」 と同僚に ぼやいていた。 親なんて 勝手なもので 小さいときは 早く大きくなって 欲しいと願う。 でも…。 大きくなったらなったで また違う悩みが出てくる。 哲が課長になると 子育てに悩み 仕事を辞めて しばらく家庭に入った。
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