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玄関のドアを少しだけ眺めて くるっと踵を返すと ちょっとため息が出た。 まだ少しだけ赤い顔を 両手で挟むと 昨日の夜の行為が頭に浮かぶ。 幸せなんだろうな…。 と思う。 「あ、ライブに行く事  言いそびれちゃったよ。」 苦笑いをする。 後で言わなくっちゃね。 行かせてくれるかな? 私が出かけようとすると 物分り良い振りして 時々機嫌がわるくなる。 決してダメだとは 言わないけど 無言でそれを 要求されてるようで いつも私から 「別に行かなくても  いいんだけどさ」 と、言ってしまう。 だけど、今回このライブは どうしても行きたい! 見たい! そして、生で その声を聴いてみたい!! 玄関から戻り椅子に座る。 TVから流れる音を聞きながら 最後の一口のパンを頬張ると 機嫌のいい日を狙って お伺いをたてなくちゃ。 心の中で硬く誓った。
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