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タバコが短くなり
最後の一口と思い
口をつける。
思いっきり煙を吸い込むと
また詩織にかけてやった。
すると詩織は
「もう!」
と言いながら
煙たそうに手を
パタパタする。
は?
ライブに行きたい??
俺はすぐさま機嫌が悪くなる。
いつもは、俺の機嫌が
悪くなるのが分かると
「じゃあ、行かない」
と諦めるのに…
今回はどうしたのか
諦めが悪い。
俺は…。
本当に自分勝手だ。
自分は仕事と称して
飲みに行ったり
『勿論接待だ。
違うときも何度かるけど。』
会社の慰安旅行に行ったり
『これは会社の行事だから』
ゴルフに行ったり
『これも接待。でも…。
半分は自分の為か。』
するけれど。
仕事を辞めてから
家に入った詩織は
ほとんど夜は家にいる。
『ダメ』
と何処へも行かせたくない。
仕事から疲れて
帰ってくる俺を
癒してほしい…。
歳ばっかくってるけど
駄々っ子みたいだ。
けど…。
嫌なものは仕方ない。
「買っちゃったんだよね」
と、上目遣いになる詩織に
視線をやると
本当に可愛い
と思ってしまう。
が…。
可愛さ余って憎さ百倍とは
まさにこの事だと思う。
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