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一通り二人で笑い転げると だんだん笑いも収まってきた。 「実はさー。  うちの子も大学入って  軽音部に入ったんだよね。」 さっき笑いすぎて 目から涙が出たのを 親指で拭いなら 話始めた。 「え、ほんと?」 「うん」 「担当は?」 「ギターだよ」 「えっ?前からしてたっけ?」 「ううん!全然だよ。  ってか、高校のとき  部活引退したら少しね。  でも、受験あったし  そんなに出来てないよ。」 「そっか、そっかぁ。」 「なのにさ、先輩のバンドに  誘われたんだって。」 「へえーすごいじゃん!」 「なんだかねー」 息子の健の話によると サークルの飲み会の時 たまたま隣になった先輩に ギター担当がいなからと 誘われたそうだけど。 大学から帰ってくると 一生懸命練習している。 でも、ほとんど経験のない 健が入って 迷惑なんじゃないかと 思ってしまう。 「んでさ…」と言いかけると 「あ!!!」 と、突然でかい声を出して 「ちょっと待ってて!!」 と、言うといきなり 部屋を出て行った。 あっけにとられて 今日子が出て行った方を 茫然と見ていると ダダダダダっと 階段を降りる音がする。 バっと部屋のドアが 勢いよく開くと 「お待たせ!!」 と、さっきと同じ キラキラ目になった 今日子が私に近づく。 「はい、これ!」 と、言うと ぴらっと一枚の紙を差し出した。
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