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俺は葬儀に携わる身。
かといって、奥さんに余命宣告が告げられたおっさんに葬儀の話など、唐突にはできない。
だが、友人は
「山形さん、こいつ葬儀の会社におるんですよ」
と、紹介された。
……こいつすげぇな。
躊躇なく踏み込んだ。
「あぁ…そうね。何かの縁かもしれんね。その時はよろしくね」
元気はない。
当たり前か。
「そうやなくてほら、辛いやろうけどイロイロ聞いとかないかんでしょ。現実から逃げたらいかんですよ」
おい……
もうよせ……
「そうやね…」
「今はこんな場やし、明日時間もらえんやろうか?見積もりとかしてもらえるとね?」
「ええ、大丈夫ですよ。明日電話ください。」
と、俺は名刺を渡し、電話番号を教えた。
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