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この楽しげな宴を取り仕切っているのは、蕭何(ショウカ)という男である。
この男もまた劉邦と同じく、沛県の役人である。ただ、劉邦とは正反対に、普段の仕事ぶりは実に真面目であった。
そんな彼であるから、劉邦のことをよく思っているはずはない。だが、劉邦の性格もよく知っている分、このような宴の席には絶対に彼が現れるという事も分かっている。
酒のある席に劉邦が現れないはずはないのだ。
だから蕭何は今悩んでいる。あんなクズ人間に来られては、せっかくの歓迎会がめちゃくちゃになる。劉邦をこの宴に参加させるわけにはいかない。
「蕭何殿、お酒が足りません。もう少し用意してくださるかしら?」
上座から、酒の催促をする肉ダルマの声が聞こえる。
ふざけるな、お前は付属品だろ、と言いたいのをこらえつつ、蕭何は部下に酒の用意をさせた。
自分は再び考える。あの劉邦のクズ野郎を閉め出すにはどうすればいいか。
蕭何の頭はフル回転している。
まもなく、劉邦を室内にあげないための名案を考えついた。
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