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ここで再び、劉邦である。
劉邦一行は、町の人間の話から、沛県に来た有名人とは呂公と呼ばれる老人であり、役人の蕭何が歓迎会を取り仕切っているということを知った。
その歓迎会は非常に盛り上がっており、酒も料理もふんだんに振る舞われているらしい。
「有名人のジジイはどうでもいいけど、酒と料理には是非ありつきたいな」
劉邦の目的は、有名人を一目見ることから、酒をたっぷり飲むことにシフトしつつあった。
朝から酒場で大量に飲んでおいて、なおも飲もうというのだから、劉邦もその下っ端達も並のクズではない。
「よし、兄貴! 早く行って酒をいただこうぜ!」
ひときわ張り切っているのは樊カイである。今この男の頭には、もはや肉と酒しかない。
「しかし、歓迎会を取り仕切ってる奴、蕭何だってのがなあ…」
そこが劉邦にとって不安なところである。あのくそまじめな男が、易々と自分達劉邦愚連隊を通すだろうか。
何とか理由を付けて門前払いにするのではあるまいか。劉邦はそう考えていた。
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