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この日も劉邦は、集った不良どもと一緒に朝から酒を飲んでいた。
「いやあ。劉邦さんが来てくれるおかげで、ウチの酒場は大繁盛ですよ」
と、酒場の親父がニタニタしながら劉邦に話しかけている。
「あったり前だよ。こんだけ呼んだんだからさー。いつもどおり、俺の分はタダね」
そう笑いながら答える劉邦の顔は、すでに赤くなっていた。
酒場の親父は内心、ちっ! このクズが! などと思いながらも、そんな感情は少しも顔に出さず、笑顔で
「へい! サービスさせていただきます」
と、愛想笑いを浮かべながら答え、奥へと引っ込んでいった。
たしかに、この酒場がこれほど繁盛するのは劉邦が来ているときだけである。もし劉邦にへそを曲げられでもしたら、この酒場は客が来なくなり、潰れてしまうかもしれない。
劉邦はそのことをよく知っている。駄目人間が大半であるが、自分のまわりには人が自然とよってくるのだと言うことを自覚していた。
だからこそ、酒場の親父にこんな要求が出来るのであった。
「オラ! お前ら、飲め飲め!」
すっかりできあがってしまった劉邦は、上機嫌で自分の酒を仲間達に振る舞っている。
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