Prologue─プロローグ─

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少年は部屋の隅で震えている。父と母がここに居ろと言ったからだ。 一体何なんだろう。 少年は思った。少年は理由を聞こうと思った──が、父の目を見ると、聞けなかった。 少年は部屋の隅で震えている。ガタガタと。もしかしたらこの擬音も聞こえているかもしれない。 ──ガチャ。 ふいに扉の開く音がした。体の震えは増していく。 少年は震えている。何か音が聞こえる。 一階の玄関の辺りだろうか。大人の男の声がした。 また震えは増した。 ──バンバン。 二回程、銃声が聞こえた。何だろう。下で何が起こっているんだろう。 気になる。でも動けない。 少年は震えている。 少年は震えている。 少年は震えている。 少年は─────
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