アンパンマンという肖像

43/49
前へ
/55ページ
次へ
 ページの最後は、赤黒い染みで満たされ、その上もみくちゃにされていた。刃物のような後も目立つ。  僕――アンパンマン――が訪れた時、辺り一面には焼け焦げた野原と廃墟となったパン工場、それと死体の山だけがあった。  最後の日付から既に一月以上が過ぎていることに驚いた。  僕が逃げ出してから、それだけの時間が経っていたようだ。なるほど、確かに死体は骨とわずかな腐肉ばかりなのも頷ける。  幸か不幸か地下室への扉はしまっており、雨水などの侵入は防げたらしく、ジャムおじさんたちの最期の様子もありあり残っていた(といっても血の手形や爪跡から抵抗したことが伺えるだけだが)。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加