アンパンマンという肖像

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「        !!」  誰も居ない。そんなこと分かりきってる筈なのに、心臓が声ならぬ叫びをあげたがる。僕はここにいる。誰もここにいない。 「        !!」  叫んでも無駄だといいたげな静寂だけが虚しく横たわる。その当たり前の静けさに拒絶反応を起こすように声ならぬ叫びは未だにあがっている。あがりつづけている。 「      」 「………………へほー」  信じられなかった。誰かが居る事が。  信じたくなかった。また出会うだなんて。 「バイキンマン……」  喉の奥から辛うじて出た声はまるで瀕死の病人の断末魔のようにか細くか弱く。 「見ぃぃぃつけたぞぅ? アァァァアンパンマァァアァァン☆」
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