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奴はそのまま入院、手術となった。
家に戻って電話で父親に報告した。
「2週間後、そっちに戻るから、それまで生きていてくれれば……」
2週間? そんな早い命なのか?
手術後、奴を迎えに病院な行った。
俺の顔を見るなり、寝そべっていた奴は起き上がり尻尾を振った。
「器官に虫がつまり、呼吸困難になっていたので喉を切開して、これだけの虫を除去しました」
なんだこれは、こんなんのが体の中にいたのか。
首に包帯を巻いた奴は、自宅に戻ると嬉しそうにはしゃいで…尻尾を振っていた。
「僕、手術したんだ。今は傷口が痛いけど、もう大丈夫。呼吸できるし、だるくないし、早くまた散歩に行きたいよ」
一瞬…奴がそんな事言った気がした。
でも……
奴が散歩に行ける事はなかった。
手術後、一瞬調子が良く見えたのもつかの間。
数日後には、起き上がる事さえ出来なくなっていた。
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