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ピクピクと手足が痙攣している。
俺は、Sランクもこんなもんかと思いながら、ハンマー男の鳩尾を狙って体当たりする。
身体能力が下がっているため、前のような音速以上の速さには程遠いが、充分な速度だろう。
槍投げの世界選手が力いっぱい投げた槍より少し速いくらいの速度だ。
俺が飛んでくるのを見て、痺れを残しながらも対処しようとするハンマー男。
俺は空中に居るので、何かしらアクションをとられたら魔法を使わないと無防備なわけだが、面白そうだから魔法を使わず突っ込む。
俺が、あと少しでぶつかりそうになったとき、
「ぬおりゃぁああ!」
ハンマー男が無理矢理腕を振り、ハンマーで俺の右側をぶっ叩いた。
まさにゲートボールのボールのように、見事にパコーンと吹っ飛ぶ。
「…なんで、何も抵抗がなかったんだ?」
「それは、俺が戦いを楽しむためだ」
「なにっ!」
痺れは解けたらしいハンマー男が、背後から聞こえた俺の言葉に勢いよく振り返った。
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