1.不老不死の御相手探し

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部室楝の裏はあまり手入れがされていない為、背の低い雑草が生い茂っていた。 部室と侵入防止用のフェンスに挟まれた、人が4~5人並べるかどうかくらいの狭い通路状の場所である。 普段なら誰も来ることが無いであろうこの場所に、私が来る前から居たのは1人の男ー。 身長は約180cm程、美しい茶色の髪に何処までも甘く挑発的な色素の薄い茶色の瞳。 イギリス人の母と日本人の父を持つ、イケメン生徒会長、漆川剛志であった。 「漆川先輩、遅くなってすいません」 私が一応、申し訳なさそうな表情を作って言うと彼は「いや…」と首を振る。 「全然気にしなくて良いよ」 それなりに長い時間待たせたハズだが、漆川は暑い素振りを全く見せずに笑顔で言うと間髪入れずに―。 「…それよりも君は本当に断るつもりかい?俺と付き合う事を?」 何処か信じられない様子の彼に対して、私はキッパリと切り返す。 「…すいません。私、恋人が沢山居る人は無理なんです。…それではこれで」 ーこれ以上は時間の無駄だ。 そう思った私はペコリと頭を下げると踵を返しー、足を止めた。 「…これはどういう事ですか?」 振り返りもせず、そう言う私に対して、漆川は至極残念そうに答えた。 「…本当に残念だよ。君は美しいから、こんな事をしないで手に入れたかったんだけどね。―友達に協力してもらう事にしたよ」 ガサリと一歩後退った私の前に現れたのは2人の不良。 入学当初に愛子をナンパしていた所を私に成敗された例の不良達だった。 「おお~、漆川。ソイツだよソイツ。折角、良い感じだったのに邪魔しやがってよ、マジで…」 不良の1人がそう言うと漆川は前髪を掻き上げながら溜め息を吐いた。 「…空手三段、柔道ニ段。相手が悪かったね。まあ、挟み撃ちの3対1なら何の問題無いだろうけど…」 どうやってその情報を仕入れたか聞きたい所だが、今はそれ所では無い。 どうやら、この不良達のリーダー格は漆川の様だ。 愛子の件が関係しているかは解らないが、彼等が此処に居る事を見ると初めからこのつもりだったのだろう。 「…こんな事をして許されると思ってるんですか?」 漆川に対して非難の視線を送りながら言うと、彼は「大したことでは無い」と首を横に振って微笑む。
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