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「…バレたらマズイだろうね?まあ、そうならない様に君には黙ってて貰わなきゃならないけど…」
そう言ってカメラを取り出す漆川。
ー手慣れた様子から今回が初めてというわけでは無さそうだった。
それを見て私は思う。
(最低の男だとは思ってたけど、…最低のカスだったのね)
私は一度でもこの男を運命の相手候補の上位に挙げた事を恥ずかしく思ったが、それよりも今はこの状況をどうするか、だ。
暗殺者時代の経験を生かして、3人とも気絶させてしまおうかとも思ったが、今後の事を考えると面倒な事になりそうだと感じた。
だからといって、このまま、このカス共に好き放題されるのは論外である。
(何よりカメラは困るのよね…)
不老不死である自分の姿を保存されてしまうのは色々とマズイ。
何らかの形でネット上に流出でもしよう物なら、それを揉み消す為にどれ程の金を使わなくてはならなくなるやら…。
折角、運命の相手を探す以外で仕事をしなくても良いという状況なのに、それが終わってしまう。
(…なら殺るしかないわね)
相手は私が空手をしている事を知っている。
空手の形で殺れば、不自然な所は何も無いだろう。
漢字が多少物騒な事になっているって?
…気のせいよ。
私は両拳を握り締め、構える。
後の面倒は…仕方ない。
ネット流出よりはマシだ。
そう結論付けた私は不良達へと襲い掛かったー。
「ー先生!こっちです!!女の子が不良に絡まれているのは…!!」
そう言って現れたのは、さっきミネラルウォーターを渡してきた男子生徒であった。
危機迫る表情を浮かべ、「こっちです!!早く早く」と手招きをしている。
「ゲッ、先公だと!?漆川、どうすんだよ!!」
男子生徒の言葉に慌てた不良がそう言うと漆川はチッと舌打ちをしてー。
「…逃げるしかないだろ。行くぞ!」
そして、彼は狼狽える不良2人を置いて走り出した。
「おい!?置いてくな!!チクショー!!」
それを追い掛ける様に走って行く不良2人。
ー途中、すれ違ったが彼等にはそれを気にする余裕すら無いようだ。
そのまま走り去って行く彼等の様子を眺めていた私に対して、先程の男子生徒が叫んだ。
「早くこっちに!!」
何度も後ろを振り返りながら手招きをする彼を見ながら苦笑した私は、大きく頷いて彼の方へと走り出した。
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