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深夜の都内某所ー。
夜空を切る様に聳える高層マンションが建ち並ぶ、高級住宅街の一角。
その中で、最も豪勢な造りをしたマンションの最上階のベランダに1人の少女が居た。
歳は見た目16、7といった所か―、白い女性物のシャツにピッタリと張り付いた青のジーンズという出で立ちで、空とベランダとを分ける柵に両腕を乗せ、物憂げな表情を浮かべていた。
身長は163cm前後、体型は標準より少し細めのスレンダータイプ。
今は体に張り付く様な服を着ている為、それなりのプロポーションを持っている様に見えるが、実際は標準程度だろう。
黒く肩に掛かる程度の髪をポニーテールに結い上げ、疲労感を漂わせながら溜め息を吐く様は、大人びているとはいえ、あどけなさの残る彼女の外見に似つかわしい物では無かった。
しかし、東洋的な顔立ちの中にあるスラリと筋が通った綺麗な鼻の上に浮かぶ、全てを見透かした様な青い瞳と年齢にそぐわない妙に洗練された仕草がそれを肯定するー。
都立光星(こうせい)学園1年生、秋川 悠希ー。
そう名乗る彼女、"不老不死者"ルメリア=ゼルフィードは今までの人生を思い返していた。
ーとはいえ、彼女自身、1800年という壮大な時間の全てを思い返せる訳では無い。
既に自分の生い立ち、出身地、更には両親の顔さえ覚えていない彼女。
自分が不老不死になった理由ですら、確か魔女をしていて、多分、出身地で有ろう何処かで、どうだったか、適当に調合した薬を飲んで、こうなったハズ…という程度の記憶だった。
それから、それを嘆いた時期も有ったなぁ~やら、魔女狩りを期にアジアに来たんだっけ?等、本当にどうでも良い事の様に今までの人生を振り返っていた。
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