第4章 親友と言う名の相談相手

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まるで子を諭す母親の様にフィルシーは語りかける。 「世の中ね、誰も傷付かないなんて有り得ないの。誰も傷付けない人生なんて夢物語なの。それは軍人のレルト君なら分かるでしょ」 確かにそうだ。今まで勝利と引き替えに、数多くの戦友を失ってきた。 犠牲無しの幸福なんてあるはずがない。 「レルト君は女の子を異性として余り見ないから、乙女心なんて理解出来てないと思う。だからこの件で悩むのは凄く分かるよ。けど……嘘だけは絶対ダメ。これは何回でも言うよ」 フィルシーは優しい笑顔で立ち上がり、レルトの背後に立つと柔らかく抱きしめた。 「自分の気持ちを素直にぶつける。それが一番だよ。ほら、昔みたいに元気と勇気あげるから」 この抱きしめは幼い頃の2人のおまじないだった。 クヨクヨした時、悲しい時、勇気が欲しい時にこうしたものだ。 成長するにつれてしなくなったが、久しぶりにフィルシーはそれをした。
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