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しばらく2人の間に短い沈黙が流れた。
やがて、私が「はぁ」と軽いため息をついて言った。
「こうなったら、決闘をするしか無いわけよね。話し合いじゃ、解決できないようだし」
「ほう。この森の老人に戦いを挑んで来るやつがまだ居たとは驚きじゃ。何百年ぶりかのう。よいぞ、よいぞ」
「それでは、こっちから行きます。手裏剣を投げさせてもらいます」
言った瞬間、森の老人は、体格からは考えられないスピードで、『根本の森』へと逃げて行った。私の投げた数枚の手裏剣は見事に全て外れ、『根本の森』周辺の林に刺さった。
「逃げた……あのやろう決闘をすると言っておきながら……逃げた」
私はとりあえず、自信作のお弁当を食べてから森の老人を追いかけることにした。この森へ来ると、どうやらお弁当が無性に食べたくなるらしい。
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