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「ユイユイ?どうしたんですか?」
「ごめん……。なんか無意識に……」
そう言うと杏里ちゃんがあたしに頭を下げた。
「ありがとうございます、ユイユイ」
「え?」
「あのままあそこに居たら、きっとあたしは彼女を殺してました」
辛そうに目を伏せる杏里ちゃん。
あたしはそっと杏里ちゃんの手を掴んだ。
「春香ちゃんの親友って、杏里ちゃんのお姉さんだったんだね……」
「はい……」
「じゃあ杏里ちゃんは、あたしも稜も憎い?」
「え?」
「お姉さんは稜を好きになって自殺した。その稜と、彼女であるあたしを見てたら憎いんじゃないかなって」
そう言うと杏里ちゃんは首を思いっ切り左右に振った。
「そんな事ありません!!」
「でも……」
「確かにあたし、プリンスにムカついてた事はありました。プリンスがお姉ちゃんに近づかなければこんな事にはって。
だけど、プリンスが好き好んでお姉ちゃんに近づいたんじゃない。お姉ちゃんがプリンスを好きになっちゃっただけなんだって思い直して……。
それに、お姉ちゃんも幸せそうだったから」
「え?」
「片思いだけど、傍にいれるだけで幸せだって言ってたから……」
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