3142人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
「りょ…お……?」
あたしの言葉に稜はギュッと腕の力を強めた。
「また……」
「え?」
「また唯がどっか行っちゃったんじゃないかって思って……」
「稜?」
「朝起きたら唯、すでに居ねぇし……」
「あ……」
そうか。
あたし、春香ちゃんの事気にしすぎて今日は一人で学校来たんだっけ。
あたしは少し目を泳がせた。
「唯に何かあったんじゃないかって心配してたんだぞ?」
稜の震えた声に、あたしの中に罪悪感が生まれる。
そうだ。
あたし、何を考えてたんだろう。
稜はあたしを大事にしてくれてる。
今、稜の彼女は春香ちゃんじゃなくてあたしなんだ。
それなのに元カノってだけで動揺して、稜に心配かけて……
あたしは、どれだけ稜にこんな思いをさせれば気が済むんだろう。
あたしはギュウッと稜に抱き着いた。
「ごめんなさい」
「唯?」
「ごめんなさい……」
そうして、あたし達はHRをサボってから教室に戻るのだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!