3145人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言うと新くんがうなだれた。
「可愛かったって……」
「あ、ごめんなさい……」
「俺、唯ちゃんが『有名人になったら結婚してあげる』って言うから頑張ってトップモデルになったのに」
「えぇ!?あたしそんな事言った!?」
「言ったよ!!」
そう言って新くんがあたしに今度は正面から抱き着いてきた。
「え!?」
「俺はずーっと唯ちゃんが好きなんだよ。俺の初恋は唯ちゃんだもん」
「えぇ!?」
驚くあたしに新くんが顔を擦り寄せてくる。
そんな新くんから稜があたしを引っ張った。
今度は稜に抱きしめられるあたし。
あたしは混乱する頭のまま稜の制服を掴んだ。
「お前と唯が幼なじみってのはわかった。でも唯は俺の彼女なんだよ。いくら幼なじみだからって、そんなの許せるほど俺は大人じゃない」
稜の言葉に新くんが目をパチクリとさせる。
それから「ブッ」っと吹き出した。
え?
「おいおい!!嘘だろ!?あの稜がマジで焦ってんじゃん!!もしかして稜の弱点って唯ちゃん!?」
大笑いの新くん。
怪訝そうな稜。
呆然とするあたし。
新くんはひとしきり笑ったあと、涙を拭いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!