3145人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、わり。本気でウケた」
「なんでだよ」
「だって稜って弱点ないじゃん?しかも焦ってるとこ見たことねぇし。
なのに唯ちゃんの事になるといきなり焦りだすし。マジびっくり」
「てめぇ……」
「でも俺、諦めるつもりないから」
「は?」
「こんだけ会ってないんだ。唯ちゃん可愛いから彼氏ぐらい居ると思ってたし。でもそれが、いとこだと思わなかったけど」
「………」
「稜から奪うってのも面白いじゃん」
新くんが不敵に笑う。
そんな新くんを睨みつける稜。
ギュッと稜の腕に力が入った。
稜……。
ダメだ。
守られてばかりじゃ。
あたしだって、稜が好きなんだから。
あたしは新くんの目を真っ直ぐ見て口を開いた。
「新くん」
「ん?」
「わからないけど、あたしが新くんに軽率な事言ったのは謝る。でも、あたしは今、スッゴく稜が好きなの。だから、ごめんなさい」
ペコッと頭を下げる。
「どんだけ新くんが頑張ってくれても、あたしの気持ちは変わらな……」
スッと、あたしの唇に指が触れた。
驚いて顔をあげると、新くんが人差し指をあたしの唇にあてていたのだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!