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稜のいとこの久遠くんと、元カノの中島さんが転校してきてから数日。
あの日からモヤモヤが晴れない。
杏里ちゃんが言ってた『親友を自殺に追いやった』って話。
本当に、あの中島さんが?
昨日の笑顔からは全然そんな風に見えなかったけど……。
あたしは教室でため息をついて机にうなだれた。
すると
「ねぇ、吉岡唯ちゃん、だよね?」
前から声をかけられた。
顔を上げると、目の前には中島さん。
慌てて飛び起きた。
「中島さん!!」
「やだなぁ、春香でいいよ」
「春香…ちゃん……」
「うん。まぁ合格点かな」
春香ちゃんがニコッとあの人懐っこい笑顔を向ける。
あたしにはわからない。
本当に、こんな笑顔を向けれる人がそんな事出来る?
あたしは知らない間に春香ちゃんの顔をボーッと見ていた。
「唯ちゃん?」
「……え?」
「どうしたの?ボーッとしてるけど……」
「あ……」
あたしが俯いて黙り込むと、春香ちゃんは少し首を傾げてから「まっ、いっか」と言った。
「それより唯ちゃん。有沢稜くんと付き合ってるって本当?」
‐ドクッ‐
心臓が音をたてる。
どうして、そんな事……。
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