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気のせいだと信じたいようなワードがミチルの口から出たため思わず聞き返した。
しかし。
「僕は死神だって言ったんですよ」
「お前が、死神?」
俺の思いもむなしく再び危険ワードを発したミチルに、俺は三度問い掛ける。
だが、何度聞いてもミチルの答えは変わらない。
「はい、そうです」
「あー、ちょっとタイム。ミチルってあれだよな、確か中学卒業する前に交通事故に巻き込まれて死んだんだよな」
「はい。それで死後はこうして死神という仕事をやってます」
「へ、へぇーそうなんだ。死神、ねぇ……」
思わず状況整理をする俺だが、ミチルが死神だという現状が崩れることはない。
そんな俺の疑いの視線に気付いたのか、ミチルがむっとした表情になる。
「あ、信じてませんね」
「そりゃまあな」
素直にそう言うと、ミチルが「では死神の証拠を示してあげましょう」と言い出した。
まさか鎌でも出すつもりなのだろうか。
「死神はですね、このうなじに毛が」
「うぶ毛だ、それは」
ちょっと期待した俺が馬鹿だった。
うなじをこれでもかと見せつけてきたミチルを一蹴するが、ミチルはまだ口を開く。
「死神はですね」
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