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「一人につき一匹、死神犬がついてるんです」
「それは初耳だな」
「そうでしょうそうでしょう。死神犬が何よりの証拠です」
俺の反応が好感触だったらしく、ミチルは得意げに鼻を高くするが、俺は素朴な疑問をぶつける。
「で、その死神犬とやらは何処にいるんだよ」
肝心の証拠がいないんじゃあ本末転倒というものだろう。
「孝也には死神犬見えないんですか?あー、言い忘れてました、死神にしか死神犬は見えないんでした」
そう言ってわざとらしく笑うミチル。
なんかムカつく。
「あぁ、そう。じゃあ死神犬がどんなんなのか教えてくれよ」
なんかどうも胡散臭いが、話に付き合ってやる俺の優しさに感謝感激雨アラレするがいい。
「そうですね、見た目はドーベルマンです」
「じゃあドーベルマンなんだろ、それ」
「違いますよ!」
俺としては間違ったツッコミをしたつもりはなかったが、ミチルは憤慨した様子でそう詰め寄ってくる。
「死神犬は色んなサポートをしてくれて、とても良いパートナーで……うっ」
なんか半泣き状態になりはじめた死神。
ええい、なんだこの状況は。
「わ、わかったよ、ミチルは死神なんだろ?わかったって」
「本当ですか?」
いや正直引っ掛かるところしかない。
かといって死神が何なのかなんて知るはずもない俺には、ミチルが死神じゃないと言える根拠もない。
とりあえず、死神ということにしといてやることにした。
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