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「お前だな、わしの木苺を食べたのは!」 「この森の動物ってしゃべるのね。」 「おい!どうだと聞いているのだ!」 熊は明らかに怒っていました。 ぐぉおおお、と鋭利な爪を見せ付けて今にもあかずきんへ飛び掛ろうとします。 「え、えぇ、木苺なら私が食べてしまったけど・・・」 あかずきんが身の危険を感じて立ち上がった時です。 「ぐおおおおおお!!!」 「きゃあ!」 熊はあかずきんめがけて勢いよく爪を振り下ろしました。 間一髪、あかずきんは横に跳び、無事でした。 しかしほっとしたのもつかの間・・・ 跳んだことで倒れているあかずきんへ今度は足を振り下ろします。 体重何百キロもの熊に踏まれたらあかずきんの細い体など簡単に折れてしまいます。 「ちょちょっと待って!」 あかずきんは踏み潰される寸前、思わず声を上げました。 ぎゅっと目をつぶって痛みに備えるあかずきん。 しかしいつまでたっても痛みは襲ってきません。 「なんだ?死ぬ前くらいは聞いてやろう。」 熊はあかずきんを冷たく見下ろし、器用にも片足を上げた状態で言いました。
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