僕らの世界

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午前、日もだいぶ昇り、人もちらほらと出てくる時間。朝の空気は、車も通ってないし、季節が秋だということもあり、空気もなんとなく澄んだように感じられた。 「外に、出たいな」 さっきまで母親がいて、カーテンと窓を開けていったので、日が差し込み、ゆったりした空気が流れ込む。光は反射して部屋全体を明るく照らし、風は僕の頬を撫でる。一番上の階にある病室なので、景色が良い。心地よい、のは確かだ。 「何黄昏てんだよ」 病室の扉のところから声がした。 とても聞きなれていて、僕が一番聞いていて安心する声。 僕は扉の方を向く。そこには学生服を着た少年が扉を開いて、まっすぐにこちらを向いて立っていた。 「そういう気分なんだよ」 僕は微笑みながら答える。少年も僕につられるように微笑する。 少年、ケイゴは僕の親友だ、と思う。 「学校は? もう登校時間過ぎてるんじゃない?」 ケイゴは苦笑しながらこちらに近づき、近くにかったパイプ椅子を自身によっけて座る。 それから僕たちは雑談をしていた。本当にたわいもない話だ。僕からは話題があまりないので、ほとんど僕がケイゴの話を聞くという形式だ。 「それでさぁ――」 ケイゴは話すのが上手くて、その話を聞く時間は僕にとって、とても祝福された時間に感じられる。
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