第1話「ウルトマ作戦第1号」

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およそ、ゴヒという男はこの仕事に向いている男ではなかった。MET―(モンスターエリミネートチーム)怪獣抹殺隊という仕事には。オレンジと青のMETの制服のまま、広い河川敷の土手にMETカーを停め、昼寝をしている。ここ二十年間、人類に害を成す巨大生物“怪獣”が出没を続けている。その怪獣から人々を守る、使命感のカケラもゴヒウデキには無いように見えた。胸の太陽型の通信機が鳴り出した。オガタ隊長の怒声が響く。 「ゴヒ!今どこだ!?」 「え~ただ今荒川土手をパトロール中‥」 「嘘つけ!どうせさぼってるんだろ!?板橋区A307に怪獣出現だ。フジタ隊員とタクマ隊員が向かった。お前も行け!」 「へいへい」 ビル街。怪獣ゴダンは強かった。METは苦戦していた。射撃の名手フジタ隊員がイレイザーガンを撃ちながら叫ぶ。 「くそ!ゴヒの野郎何してやがんだよ!?」 格闘技専門のタクマ隊員は笑いながら言った 「どうせ怪獣がウルトマランに倒されてからのこのこ現れるに決まってるぜ。」 「あいつはいつも肝心な時にいないんだよ!」 「いや~お待たせいたしました~」 「ゴヒ!遅えぜ」 怪獣にガンの狙いをつけながらゴヒは言った。 「まだウルトマランは来てないの」~遅いのは彼の方じゃないかな~」 ウルトマラン…人類に味方して怪獣と戦う謎の巨人。その姿は約一年毎に変化し、毎年別のウルトマランが戦っているという説が有力だ。 ゴヒのビームはゴダンの股間に命中した。 「フギ~!」 ゴダンが更に激しく暴れ始める。怒るゴダンは口から丸い塊を吐き出した。塊はMETカーを押しつぶし爆発した。爆風が三人を吹き飛ばした。フジタ隊員は肩を押さえながら立ち上がった。 「くうっ!コイツ強いぜ」 ゴヒが叫んだ。 「くそぉっ!このままじゃみんなヤラれちまう!」 ゴダンと逆方向に走り出すゴヒ。 「おいっ!ゴヒどうするつもりだ!?」 そこにゴダンの二発目が襲いかかった。爆発。フジタとタクマが吹き飛ばされた。 「どゎあ~!」 …一方、ゴヒは路地に腰を降ろしてマルボロ(BOX)を取り出していた。 「あ~危なかった。逃げて正解だよあれっ?ライターがねえぞ?落としたかな」
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