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ぶつぶつ言いながらゴヒはメットロビンをふらふらと飛行させていた。司令室からヤマダ隊員が無線を飛ばす。
「ねえ?ゴヒ?なによミドリにふられたぐらいで。私が居るじゃない?イタリヤ料理をおつまみ感覚で食べさせてくれるお店知ってるんだけど今度行かない?おっしゃれ~なんだから」
ゴヒの心が一瞬揺らいだ。ヤマダ隊員は確かに可愛い部類ではない。ブスと言っても差し支え無い。いやむしろブスと言い切ってしまったほうがしっくりくる女性だろう。しかし今の自分の喪失感を埋めることぐらいはできる筈だ。
「あ、ああ・・・」
しかしゴヒは思った。いやいやこんなところで妥協するとロクな事にはならない。もし万が一酔った勢いでベッドインすることになっちゃたりなーんかして、多分、さすがに処女だろうから責任とらされたりなんかしちゃったら永遠にまたミドリとはもう・・・いやいやミドリと浮気という手もあるななにを考えてるんだ俺は…!気をしっかり持て!持て!
「ああ遠慮しとくよ」
遠慮しとくよ・・・の返事にヤマダ隊員は怒りを感じた。なによなによそんなにミドリがいいわけ?私はこんなにあなたを求めてるのにいいじゃないの何でよ好きなのよなのになのにああミドリよりももうゴヒが憎いわよあらレーダーになんか映っているわ接近してるわねゴヒに知らない知らない教えてあげないなによぶつかっちゃえばいいんだわ。
「あ?円盤だ!!後ろから?」
ゴヒは円盤に気付くのが遅れた。円盤からの怪光線をゴヒは避けきれなかった。右翼が煙を噴く。しかし必死に反転し円盤にミサイルを撃ち込んだ。被弾。爆発。しかしメットロビンもバランスを失いそのまま円盤に激突した。二つの機体はもつれながらきりもみ状に回転しながら山肌に墜落していった。爆発。
「痛てててテ・・・」
一瞬早く脱出していたゴヒはパラシュートを外しながらぼやいた。
「踏んだり蹴ったりだ。あーやってらんねえ」
ふと気付くと円盤の残骸の側に何かがうずくまっていた。
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