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ゴヒの脳裏からは、あのアユカの最後の姿が消えなかった。壮絶な自爆テロ。戦うことが怖くなったわけでも、彼女の命をかけた信念に感動しウルトマ一族に疑問を持ったのでも無く…ただただ戦うのが何故か嫌になったのだった。もしかしたら俺は彼女に恋愛感情を持ったのかもしれないな、とゴヒは思うがそれも確かではなかったし、またそうだとしてももう彼女はいない。何もどうにもなりはしない。とにかくゴヒは何もする気にはならなかった。
「今頃みんな心配してるだろうなあ」
ふと聞きなれた靴音が聞こえてきた。
「ゴヒー!こんなところにいやがったぜ!!」
顔を上げると制服姿のタクマ隊員とヒカル隊員が立っていた
「アハ、アハ、探しましたよ~」
ゴヒは少しばかり喜んだ。ああ俺の事を心配して探しにきてくれたのか、しかしゴヒはわざと不機嫌な態度で言った
「俺はもうMETには戻りません」
するとタクマは銃を抜きゴヒに向けて言った「ふざけるな」
タクマはゴヒに狙いをつけながら言った
「お前には、宇宙人を手引きしてSST爆破に関与した容疑がかけられてるんだぜ」
ヒカル隊員が手錠を取り出した。
「アハ、アハ、観念しましょうよ指名手配のゴヒさん」
ゴヒは木につかまり立ちしながら泣きそうな声で言った。
「そ、そりゃあ誤解だよう」
「それならなんで今まで隠れてたんだ?あぁ?まあ調べりや判るゼ」
その時巨大な地鳴りがした。そして大地が震えだした。
「お?何だこりゃ?地震か?おい、あれを見ろ!!」
タクマが銃で指し示した方向に、恐ろしい勢いで土煙が上がっている。地中から巨大な銀色の蛇のような物が現われた。いや、それは何かの尾だった。右に左にうねりながら天に向かって伸びていく。尾に続いて更に巨大な体が現われた。全身銀色に輝き、鋭い角が体のあちこちから突き出している。
「怪獣だぜ!!」
二人が気を取られている隙にゴヒは逃げ出した。辺りに怪獣の咆哮が響き渡る。
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