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(聞こえる?)
彼女が首を振る。
「幽かに、低いgeeって音がするだけ」
彼女の耳の造形があまりに綺麗なので、蜜蜂が花と間違えて飛び込んだのだろうか。
それならば、光で誘い出せるだろうか。
僕は彼女を膝枕しつつ具に穴を調べたが、異物は見当たらなかった。
いや、それとも、うずまき管の奥に居るでんでん虫が、余りの静寂に嫌気が差して、退屈凌ぎに銀河を創ろうとbigbangを起こしたのだろうか。
それならば、見本を見せてあげなければ。
と、彼女と二人で月光の下へ出掛けた。
北斗七星を頼りに、渦の中を進む。
(あれが銀河だよ。)
彼女の耳に囁いて、光の雫石に捕われた女を指差しても、彼女は僕の指しか見ない。
でんでん虫には伝わっただろうか。
「あの女はどうして泣いているの?」
僕は困った。
何故少女というものはこうも答えにくい質問ばかりするのだろう。
知らないとは言えないので、僕は嘘を吐くことにした。
(夫の歯軋りが気になって眠れないんだ。)
「…ふうん。」
寒さが肺から血管へ侵食してきた。
(そろそろ帰ろうか。)
でんでん虫の宇宙創造が成功したら、その一部の所有権を主張しよう。
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