始まり

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「お母さんね、今お付き合いしてる人がいるの」 過去2回、お母さんには彼氏がいた。 だけど、彼氏がいるなんて気付かされないくらい、お母さんはそんな素振りを見せない。 あたし1人を家に残して彼氏に会いに行ったり、あたしの目の前で長電話する事もない。 何度か会った事もあったけど、 優しい人だった。 お母さんは人を見る目があるんだろうなって思った。 彼氏が出来てもあたしを一番に考えてくれるから、あたしはお母さんの恋愛に口出ししなかった。 むしろ、幸せになってほしい。 「そうなんだ。どんな人?」 「なんと、IT社長。(笑)」 「マジ?金持ちじゃん!結婚しちゃいなよ!笑」 「結婚はしないよ(笑)でもね、凄くいい人で、凛子の話したら、年頃の女の子は色々不安だからって、勝手に携帯電話買ってくれてたみたい。」 お母さんは、バッグから箱を出して、説明書と携帯電話を見せてくれた。 「‥超嬉しい!!!!」 こんなに素晴らしい日がある? 可愛い服を買って髪を染めて念願の携帯電話! なんてツイてる日!? 「お母さんは、まだ全然早いと思ったんだけどね。大事に、正しい使い方をしてね。」 「うん!お礼言っててね!」 家に帰ってソッコー綾と美紀に電話した。
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