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璃桜は、安藤の肩に後ろから手を当て、起き上がる彼の負担を少しでも減らそうと起こす手伝いをした。
周平も新田の身体を支え、彼を起こしている。
「今日のおひたしはほうれん草ですから、ちゃんと食べてくださいね」
「また薄味ですか?」
冗談で文句を言った安藤はやはりつらそうに笑っていた。
璃桜は、彼が平気な素振りを見せようと無理していると知っていたから
「濃すぎるのは身体によくないですからね。残さないでくださいよ?」
と笑って安藤の会話に付き合った。
「……今日は、残党狩りかぁ……」
新田が疲れたように息を吐き出した。
箸を持っている手は完全に止まっている。
「俺も行きたかったのにな……」
しみじみと、それに紛れて箸から手を離す。
もちろん周平はそれを見逃さなかった。
「新田さん、魚を半分以上も残すのはだめです」
山崎の言い付けにも、食事をきちんと採らせること、という教えがあった。
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