闇路に囚われて

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新撰組とは、京の治安を取り締まる浪士隊である。 京の都を守り、町人たちを外敵や敵対する藩から守り抜くことにこそ、新撰組の本分がある。 新撰組はほとんどが農民や武士の成り下がりたちの集まりだ。 主流となる剣術も荒々しく、実戦にしかあまり役立たない突きの天然理心流。 そんな彼らは、会津藩に預かられ日々の活動をすることができている。 つまり、会津あっての新撰組だ。 新撰組は、会津藩に従い、会津藩と京を守り抜くという志を立てて歩み続けていた。 そんな中起きた池田屋の騒動。 町人たちはもちろん、会津藩も不安を隠せない。 だからこそ、新撰組は池田屋の騒動が起きた後、6月21日を皮切りに、六条西本願寺を中心として見廻りを強化した。 山南にその内容を伝えず、新撰組総長の意見も聞かないまま勝手に松平公に送った書状の中身はそれだ。 見廻りすることを会津藩に許可願いたい、と。 会津藩は、あっさり許可を下した。 狙いは、長州などの残党を捕まえることだ。
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