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ピーガガー。
通信機からの雑音、そんなものは彼を叩き起こすには至らない。
『こらクリフ!いつまで寝ぼすけこいとる!?』
ラチェットの怒声、無視。
『ラチェット、ワシに代われ』
続いてアイアンハイド。
『さっさと起きんか~!!』
「のわあぁっ!?」
あまりの声量にベットから転げ落ちる。
「なんやねん、アイアンのおっちゃん?」
『なんやねんも糞もなか!こっちはかなり劣勢や言うんに、どこに基地でグータライビキかきよるアホがおるか!?』
アイアンハイドの怒声が耳をつん裂く。
いや、実際にはトランスフォーマーには「耳」という器官は存在しないのだが、人間に例えるならばそうなる。
「はいはい、行ったらえぇんやろ?ちょうど二、三匹血祭りにあげようかと思ってたところや」
『二、三匹で足りるか!罰として十匹じゃ!』
ラチェットとアイアンハイド、彼らは年齢もそこそこなのに、いまだ全線で活躍している。
正直言って、彼らの説教は養成学校の補習より面倒である。
『まぁ落ち着かんか、アイアンハイド。説教はあとでよか。じゃけんどなクリフ、二度寝したら許さんぞ!』
アイアンハイドをなだめているのかいないのかよくわからない口調でラチェットが言う。
「寝れるかいな、目も頭も完全に冴えてもうたわ」
そう呟くとクリフジャンパーは通信を切り、ハッチを開いた。
眼下には戦火に燃えるサイバトロンがある。
「…やれやれ、もっと早めに起こせよ」
呆れ気味に肩をすくめ、自らの身体を『トランスフォーム』させる。
「クリフジャンパー、トランスフォーム!祭りの時間やぁ!!」
その赤いフォルムは、すぐに戦火に溶け込んだ。
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