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「つまり、変な卵を見つけて暖めたらコイツが生まれたと?」
「うん」
と、ユウナは大きな卵の殻を卍に見せる。
「お兄ちゃんの声がしたからちょっと驚かせようと思ってこの子に頼んだの」
キャオッ!
「ちょっとでコレか…甘噛みってレヴェルジャネーゾ」
血塗れの肩。傷はもうふさがっている。
『ふむ、ゴモラの卵だけでも珍しいと言うのにまさかすりこみのように人間を親だと思い込むとは』
「危なくないのかぁ?」
『君はともかく、ユウナへの力加減はできてるようだ。君が無駄に殺気を放っていたから驚いたんだな。ゴモラは普段は比較的大人しい怪獣だ。人懐っこい種も確認されている』
「ねぇ、さっきから誰とお話しているの?」
「ん? ああ。オルドとな……あ」
『うっかりさんめ』
卍は仕方なくβカプセルをユウナに見せる。
「俺の友達だ」
「コレが?」
ユウナはβカプセルを手に取りいろんな角度から眺める。
「お前の友達もちっこい怪獣じゃねぇか」
「キラキラしてて綺麗だね!」
「話を聞け!」
『お褒めにあずかり光栄だね。私はオルド、ウルトラマンオルド。遠い宇宙からきた』
「へー、じゃあいっつも怪獣とたたかってくれていたのオルドさんなんだ」
『そのとおり!……あ』
「この、うっかりさんめ……」
『その、なんだ。ユウナ、この事は……』
「うん、秘密にしておくよ! だから、この子のことはパパにはないしょね!」
『……さすが君の従姉妹というかなんというか』
「おいおい……しかし、大丈夫なのか? 相手は怪獣だぞ」
「ごもたんなら大丈夫だよ!」
キャオッ!
『うむ、大人しい怪獣が他の生物と共存するという話はよく聞く。それに、ゴモラが怪獣と呼ばれるサイズになるには何百年とかかる。ユウナが成長すれば、きっとわかってくれるはずだ。その時どうするか考えればいい。それまで彼女に預けてみようではないか』
「うーん…わかったよ。いいかユウナ。何を食うかは知らんが餌はちゃんとやれよ!」
「うん!」
「それと、ここじゃ見つかったらまずい。俺がいいとこ教えてやるからそこで飼え!」
「うん!」
「……あと、このとっちらかったのを片付けるぞ」
「……うん」
『ははは、天井も直さんとな』
「梁をぶちぬかなくてよかったよ……ところで、ごもたんって?」
「ゴモラのごもたん! いまきめたの!!」
『このネーミングセンス。血はあらそえんね』
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