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「わっちを買う人なんて今までこの指が余るほど…旦那は物好きですね」
「そうかもな」
「男を抱くのは初めてで?」男はもちろん抱くことは初めてであったが、過去に1度だけ抱かれたことがあった。そのころは13、4の子供だった。
「初めてだがやりかたはなんとなく分かる」
「そうでありんすか…では」男娼が着物を脱ぎかけると男が待て、と制止をかけた。
「私が脱がせてもいいか…」「えぇ、えぇ。それは一向に構いませぬ」
男娼はおとなしく男の手によって着物を脱がされた。男は男娼の肌をまじまじと見つめなんて綺麗な肌なんだ、と思った。その視線に気づいた男娼は
「わっちは外に出たことがありんせん。だから肌が白いのですよ」
「お前は外の世界を知らないのか」
「えぇ」
聞くところによると男娼は生まれも育ちもこの建物の中だったらしく1度も外に出してもらえたことがないそうだ。
「外に出たいと思ったことはないのか」
「そりゃぁ……多少は気になります。でも少し怖いところもありんす…」
「……どこがだ」
男は着物を脱がしながら男娼に静かに問いかけた。
「外は……この世の闇がはびこる場所だと聞いています」
「そんなこと言ったら私は闇からきたことになる」
「……っん…そうですね」
男は男娼の首筋を舐めあげながら反論した。そのまま暫くは沈黙が続いたがそんななか口火を切ったのは男のほうだった。
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