それから、

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 昌景に花を奪われた綾鷹は、花の力を完全には失ってはいないものの、子を産める身体ではなくなった。  それは昌景に花を分け与えた花守人たちも同じだった。  婚約の話も白紙に戻るのかと思いきや、  國光と和清以外は戻す気はないらしく、綾鷹達を困惑させた。 「綾鷹殿に相応しい男になって、もう一度貴方に申し込むつもりです」 「ふん、紳士ぶりやがって。綾鷹、こんな奴より俺にしとけよ」  綾鷹の右手をとり、甲に口付けする茂盛。  その隣で左手を掴む昂揚。 「お前には、渡さない」 「望むところだ、」  仲の悪いところは相変わらずだが、揃って屋敷を出て行く二人の姿は前の彼らとは違って見えた。 「前にもいったけど、俺は傍観者として見ているよ。君が誰を選ぶのか」  そう云って國光は順番に道重、昌景にも挨拶を済ませた。  どうやら彼も一度実家に帰り、またここへ戻ってくるようだ。 「僕も、家に帰るよ」 「豊久、」 「せっかくの婚約話だし、何より君のこともっと知りたいから」  その時は君を攫いに来よう。  耳元で囁き黒い笑顔を見せ、豊久は綾鷹に背を向けた。
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