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候補者は九頭龍家の家でこれからを過ごすことになった。
もちろんこの中から婚約相手を捜す為だ。
綾鷹は、選ばなくてはいけない。いずれは、
「綾鷹様?」
「……おは、よう。みちしげ」
「おはようございます」
道重はくすっ、と笑う。
寝ぼけているのか、道重の服の裾を掴んで挨拶するも、視線は地面に向かっている。
「顔を洗えば目が覚めますよ、」
「ん、そう……か」
寝巻様の薄い浴衣を着ている綾鷹。
寝起きということもあって、乱れた浴衣からは綾鷹の白い肌が露出していた。
「綾鷹様、ちょっと失礼しますね」
そう云って、主人の身なりを整えるのが道重の役目だ。
とはいえ、道重にしてみれば目の毒だ。
目の前には愛おしくも綺麗な主が居るのだから。
あぁ、このままこの腕で抱きしめてやりたい。
道重は微かに身を震わせた。
「なんだ、起きたところか?」
二人の空気をがらりと変える声。
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