第一の宝石【嫉妬】①

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マリア像のたたずむ大学の片隅。 神谷暁(カミヤアキラ)はのんびりとコーヒーを飲んでいた。 「眠そうだな、神谷。」 「先生。」 暁が専攻するゼミの教授、山崎燵生が声をかけてきた。 「夕べ、徹夜で…先生のせいですけど。」 暁はぷいっとそっぽを向いて、コーヒーを飲み干した。 「学生の本業は勉強だからな。[仕事]との両立は当たり前だろう。」 山崎はニヤリと笑って一通の茶封筒を暁に差し出した。 「聖騎士団からの報酬だ。ほとんどひとりで片付けたらしいな。さすがだ。」 「急がないと、レポートやる暇なかったし。」 暁はあくびを噛み殺しながら、それを受け取った。 中身は数万の現金。 普段は大学生として生活している暁は、小さな頃から、ひとにはない才能がある。 「確かに。」 「今日の放課後、相談者がくる。おそらく悪魔憑きだ。」 「わかった。今夜は吏優(りゅう)もくるんだよね?」 「あぁ。」 「んじゃぁ、帰りに教会によるよ。あとでね、叔父さん。」 暁は立ち上がり、ヒラヒラとてをふってサロンをあとにした。 「大学では先生と呼びなさい!」 山崎が声をかけた時には、すでに暁は学食を出ていた。
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