第一の宝石【嫉妬】①

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「…樹くんて、暁ちゃんが好きだよね。」 「――…はっ?」 不意に、圭織が無表情でぼそりと呟いた。 「なにいってんの、そんなわけ…」 「そぅ…かなぁ…。」 一瞬、口を歪める圭織。 暁の第六感が、警鐘をならした。 様子が…いつもと違う? 暁は圭織の奥に潜む気配を探ろうと、目を凝らした。 「ー…っえ?」 一瞬、目に留まったルビー色の影。 なぜか暁の心臓がドクンと跳ねた。 「…暁ちゃん?どうかした?」 「――――…い、いや。なんでもないよ。」 ただ、それは本当に一瞬のことで。 我に返った時にはそれはなにも見えなくなっていた。 暁はとりつくろうように微笑むと荷物を持ち直していった。 「とりあえず、いくつかよさそうな日連絡してよ。樹も連れて行くからさ。みんなで遊ぼう。」 「うん、いつもありがとうね、暁ちゃん。」 そういって笑った佳織はいつもどおりだった。 「いや、とんでもない。応援してるから♪がんばれ!」 「うん!」 「それじゃぁ、このあと約束があるからいくわ。」 「あ、忙しいのにごめんね。またね。」 「うん、また!」 そういって暁は愛車の停めてある駐輪場へ急いだ。 今のこと、とりあえずおじさんに相談して見るかな。 歩き去る佳織をチラッと振り向いて、暁は足を速めたのだった。
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